5つの苦しみの原因 パンチャクレーシャ
生きていると苦しみを感じることの連続です。しかし、ヨガでは本来私たちは喜びに満ちた存在なのだというスタンスを取っています。その上で、「人々が苦しみを感じるには5つの原因がある」と考え、解決策まで用意してくれています。
5つの苦しみの原因
さっそく5つの苦しみを見ていきましょう。
- アビッディヤー(無知)
- アスミター(自我意識)
- ラーガ(得たいもの)
- ドヴェーシャ(避けたいもの)
- アビニヴェーシャ(死への恐怖)
アビッディヤー(無知)
アビッディヤー(無知)というのは、本当の自分に対しての無知のことを指しています。冒頭でも説明したようにヨガでは本来私たちは喜びに満ちた存在と考えています。例えるなら、本当の自分は透き通るほどピュアな存在なのですが、いろんな煩悩や勘違いが自分自身を曇らせて見えないようにしているのです。無知が苦しみの根本的な原因と考えられているので、本当の自分を知ることが肝心なのです(この部分は内容が深いので、別記事でも紹介していきます)。
アスミター(自我意識)
「自分はこういう人間だ」という誤った決めつけも原因の一つです。例えば、「母親である自分」「○○社の社員である自分」「○○大学出身の自分」…そのような肩書きで自分を認識することで本当の自分を見失わせてしまいます。
ラーガ(得たいもの)とドヴェーシャ(避けたいもの)
物事の価値基準が「ラーガ(得たいもの)かドヴェーシャ(避けたいもの)か」だと、これもまた結果的に私たちを苦しめてしまいます。言い換えると損得勘定ですね。自分にとって得か損かが行動原理になってしまうと、少しでも損になることをすると苦しいと感じるようになります。
アビニヴェーシャ(死への恐怖)
最後にアビニヴェーシャ(死への恐怖)。死を恐れすぎると、日々老いることさえも恐怖を感じてしまいます。死は生物にとって避けられないものなので、過度の恐怖は苦しみの原因になります。
解決策としてのクリアヨーガ
5つの苦しみの原因を見てきましたが、それを克服するためにはクリアヨーガというものがあります。次の3つのことを実践することで、苦しみに捕らわれなくなります。
タパス(規律)
規律を持って生活することで、周りや自分の感情に振り回されずに過ごすことができます。規律といってもあまり難しく考えず、例えば「今月のタパスとして、間食を控える、アーサナの練習は1日10分やる、外食を減らして節約する」などなんでも良いです。マイルールに沿って生活することが大事です。
スワディヤーヤ(読誦)
聖典を読んで正しい知識を身につけることも重要です。おすすめは、向井田みおさんの「ヨーガ・スートラ」です(青い表紙の本)。難しいヨガ哲学をイラスト付きでわかりやすく説明してくれていますので、毎日寝る前に少しずつ読んでみると良いと思います。
イーシュワラプラニダーナ(祈念)
最後に祈り。日本にも「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがありますが、自分がやれることはやって、結果に執着せずただ祈ることです。社会人として生活しているとどうしても「結果に責任を持つ」と考えるクセがついてしまうと思いますが、ただ自分ができることだけに集中して行動を起こし、結果は神頼みにしてしまいましょう。
まとめ
苦しみの原因がわかったところですぐには解決できないものです。ただ、解決方法としてのクリアヨーガを生活の中で実践していくことで状況は少しずつ、でも確実に好転していくので、是非実生活の中に取り入れてみてください。